データセットを選ぶ¶
オープンにしたいデータセットを選ぶのが第一段階だ。とはいえ、データをオープンにする手順はイテレーティブなものであり、後の段階で問題が発生したらいつでもここまで戻ってこられることを覚えておこう。
もしオープンにしたいデータセットが既にはっきりしているのなら、そのまま次のセクションまで進もう。しかしたいていの場合、特に大規模な組織内においては、どのデータセットに注目するかを決めるのは難しい。そんな場合はどうすればいいのだろうか?
このリストが、どのデータセットをオープンにできるかを特定するための最初の一歩となるだろう。この後の段階で、個々のデータセットが適切かどうかをより詳しくチェックするときがくる。
データセットの完全なリストを作ることは 必須ではない。 ポイントとなるのは、そのデータを(オープンな形で、あるはそれ以外の方式で) 公開できるのかどうかだ。 先ほどのセクション を見直してみよう。
コミュニティに尋ねる¶
まずはじめに、コミュニティに聞いてみることをおすすめする。コミュニティとは、実際にそのデータにアクセスしたりデータを使ったりしている人のことである。彼らはきっと、どのデータに価値があるかをよく知っているだろう。
- コミュニティに意見を聞いてみたいデータセットについての簡単なリストを準備する。このリストはあなたが期待するものと一致していなくてもかまわない。主目的は、要望を引き出すことである。このリストは、他国の オープンデータ カタログを参考にしたものでもよい。
- 提案文書を作成する。
- 提案文書をウェブページに公開する。その提案を指す一意なURLを用意し、直接アクセスできるようにしておこう。そうすればソーシャルメディアでの共有がしやすくなり、提案が発見されやすくなる。
- 簡単に意見を表明できる方法を提供する。登録をしないと意見を投稿できないなどということはやめよう。そんなことをすれば、反応が少なくなってしまう。
- 関連するメーリングリストやフォーラムなどに提案文書の情報を拡散させ、文書のあるウェブページの場所を広める。
- 打ち合わせの場を設ける。平均的な会社員、データを扱う人、そして役人などが参加しやすいような日時で開催すること。
- あなたの所属機関の立場を代弁してもらうよう、政治家に依頼する。オープンデータは、政府の情報にアクセスしやすくする政策の一部となるだろう。
コストについて¶
政府機関が自ら保持するデータの収集や保守にかける費用は、どの程度になるだろう?もし特定のデータセットに対して多くの費用をつぎ込んでいるのなら、それはきっと他の人たちも利用したくなるものだろう。
この主張は、ただ乗りしようとする人たちを考慮せずには行えない。きっと「こんなに金をかけて集めた情報を、どうして無料で開放してやる必要があるんだ?」という問いが出てくるはずで、それに答えられなければならない。その答えは、特定の役割を果たす公営企業にコストを吸収させるということだ。いったん収集したデータを第三者に送信するためのコストは、事実上ゼロに等しい。したがって、それに対して課金すべきではない。
公開の容易性¶
どのデータに価値があるのかを判断するよりも、むしろ一般公開しやすいのはどのデータなのかという基準で考えたほうがよいこともある。公開しやすい小さなデータを公開することで、その組織の行動を変えさせるきっかけにすることができる。
しかし、この方式を使うときは注意を要する。そういった小さなデータを公開してもその効果がほとんど目に見えず、結局何も変わらないままということもあり得る。もしそうなったら、組織内での信頼も落ちてしまう。
周りを見渡す¶
オープンデータは今も成長段階のムーブメントだ。あなたのまわりには、他の分野での動きに詳しい人もきっと多いだろう。他の機関がやっていることを元にしてデータをリストアップするといい。